

左より柴野隆さん stake gambling株式会社 新事業統括本部 事業企画部(CVC担当)、Gina Domanigさん Emerald Technology Ventures CEO、後藤直孝さん stake gambling株式会社 新事業統括本部 ヘルスケアビジネスユニット H-2プロジェクトPM (元CVCチームリーダー)
顿滨颁のコーポレート?ベンチャーキャピタル(以下颁痴颁*1)は、顿滨颁グループのビジョン「彩りと快适を提供し、人と地球の未来をより良いものに-Color & Comfort-」を共に目指す仲间として、ユニークな技术力やビジネスモデルを持つスタートアップ*2を世界各地から见いだし、协业および出资を含む支援を行うことで”エコシステム*3”の构筑に取り组んでいます。
今回、stake gamblingのCVCのパートナーの一つであるEmerald Technology Ventures(エメラルド社)のCEO Gina Domanigさんの来日を捉え、stake gamblingコーポレートコミュニケーション部のコミュニケーションスペシャリストのクレイグ?ダンドリッジさんがインタビューを行いました。
*1 CVCとは、投資が本業ではない企業が、新事業創出や最先端情報の収集などを目的としてスタートアップへの投資活動や協業を行うための組織で、オープンイノベーション手法の一つ
*2 従来「ベンチャー企業」と呼ばれてきましたが、英語で「venture」というと「危険?投機的」といったネガティブなイメージがあるため、近年は「スタートアップ」と呼ばれます
*3 多くの企業、スタートアップやファンドが協業?連携し、互いに利益を得ていくシステム
顿滨颁の颁痴颁概要
【Key Facts】
设立:2016年(新事业统括本部)
拠点:米国、日本の2拠点
対象地域:北米、欧州、アジア、イスラエル
投资実绩:スタートアップ5社*、素材化学系ファンド2社

クレイグ: 现在のグローバルなビジネス环境についてどのように感じていますか?
后藤: 世界的なカーボンニュートラルの流れをはじめ、ビジネス环境は、非常に変化が早く竞争が激しいです。一公司としての利益追求型では立ちいかなくなりつつあり、根本的な构造が変わってきているのだと感じています。社会课题解决型の新事业创出を目指す私たちにとってビジネスの机会や选択肢はたくさんありますが、当然、価格竞争にもさらされているので、何を选択すべきかを决定し、ビジネスを革新してポートフォリオも変えていく必要があります。顿滨颁は素材メーカーですが、今まで以上に消费者や顾客に新しい価値を提供しなければなりません。つまり、ビジネスの仕方を変えなければならないと考えています。たとえば、现在は主にインキ?颜料?树脂などを贩売していますが、新しいポートフォリオを加えて强化していく必要もあるでしょう。また、もう1つの重要な侧面は、モノづくりだけでは生き残れないため、多くの协働を生み出し、付加価値の高いサービスを提供することによって消费者や顾客にアプローチしなければなりません。

クレイグ: 顿滨颁の颁痴颁の方针や注力分野について教えてください。
后藤: 今経営計画「stake gambling Vision 2030」においては、重点領域におけるコンピタンスの高度化とその獲得による新たな柱の構築を目指しています。stake gamblingのCVCの活動では、ファイナンシャルリターン(配当)だけでなく、新事業開発や最先端情報の収集、協業によるビジネス構築を目的として、スタートアップへの投資や素材系投資ファンドへ出資を行っています。2016年の設立から、現在までの間に、スタートアップ5社、素材系ファインド2社の実績があります。主な注力分野は、サステナブルパッケージング、サステナブルエネルギー、ヘルスケアの3分野となっています。スタートアップとの交渉は、スピード感も信頼を得るための重要なファクターですので、経営判断における時間との闘いは常に意識を高めています。

クレイグ: 颁痴颁チームのグローバルビジネスの见通しはどのようなものですか。
柴野: 同じような化学会社の中には、まったく新しい分野の事業を立ち上げているところもありますが、私たちはstake gambling Vision 2030を達成しなければなりません。現在、投資先は順調に成長しています。また、当社とのシナジー効果も出てきています。私たちは、過去5?6年はバイオテクノロジーに注力してきました。これは遺伝子編集などを含めた合成生物学の急速な進歩により、従来のバイオプロセスでは考えられなかった物質を安価に製造できるというゲームチェンジが起こっているからです。私自身は、合成生物学や藻類技術を活かした、スキンケア素材、食品やニュートリション素材などに取り組んでいます。そのほかにサステナブルエネルギー領域では、貯蔵や省エネなど。また、サステナブルパッケージ領域では、リサイクル、生分解、紙由来などをキーワードに活動しています。

クレイグ: 多くの人々は10年后の世界がどれだけ変わるか想像できないと思います。私たち顿滨颁が変化に対応して生き残るためには何をすべきでしょうか?
后藤: 私たちの会社のブランドスローガンは「Color & Comfort」です。それは世界中の人々の生活をどのように向上させるかを考えなければならないことを意味すると思います。日本やヨーロッパ、アメリカなどの先進国だけでなく、途上国も同じです。先進国のニーズと途上国のニーズは異なりますが、私たちは多様な戦略を持たなければならないと考えています。stake gamblingのCVCは、現地で何が起こっているのか、具体的な課題、どのような投資が必要なのか、世界の潮流や途上国のニーズも考慮する必要があります。
クレイグ: 顿滨颁の颁痴颁は、なぜベンチャーキャピタルであるエメラルド社へ出资しましたか?
后藤: グローバルなベンチャーキャピタル、特に素材やクリーンテック分野のパートナーを探す中でエメラルド社を見つけました。エメラルド社は、スタートアップに投資したり投資家に情報を提供するだけでなく、スタートアップの事業成功率を高めるために多くの企業をはじめ、各国の政府や大学、研究機関などさまざまなリソースも活かすエコシステムを構築していました。当時私たちは、投資の仕方やスタートアップとの関係の作り方、新規事業の立ち上げ方などを学ぶために、ベンチャーキャピタルに社員を派遣したいと考えていました。多くのベンチャーキャピタルはインターンシップ?プログラムを提供していませんが、エメラルド社はそのプログラムを持っていました。また投資実績や投資に対する考え方、さらにはエメラルド社の皆さんの人柄に惚れ込み、当時の上司や役员が出資を決めました。スタートアップへの出資もそうですが、技術やビジネスだけでなく、最終的には人としての信頼関係が重要です。
クレイグ: インターンシップをした顿滨颁の人は何人いますか?
后藤: 残念ながら、柴野さんと私の2人だけです。毎年人を送りたいですが、コロナのパンデミックのため、この3年间はメンバーを送ることができませんでした。
クレイグ: インターシップで学んだことの具体例を教えてください。
柴野: 私はスタートアップの见极め方を学びました。エメラルド社は毎年1500社以上のスタートアップをスクリーニングしており、各公司の强みや课题、特长を议论しています。これらの活动に参加することで、どのようにスタートアップを见极めるかを学びました。エメラルド社はサステナビリティ社会の実现に向け、求められることと新しい技术を组み合わせて将来のビジネスを描き、人を选び、育て、スタートアップのビジネスを成长させる力を持っています。エメラルド社のメンバーは、さまざまな分野の大公司出身者や笔丑顿、惭叠础を保有しているプロフェッショナル、かつ、フレンドリーで、寛大で、健康的で、前向きです。また、彼らは欧州にとどまらず、北米、アジア、アフリカなど、出身も様々で、オープンイノベーションにおける多様性の重要さを肌で感じることができました。
后藤: これまでのオープンイノベーションでは、大学や研究机関との连携が中心でしたが、エメラルド社との协业では、同じ分野の公司もスタートアップを一绪に育てていくエコシステムを构筑することができます。业界内ではライバルだとしても、“人と地球の未来をより良いものに”のビジョンの到达には専门家が集まった方が早く実现できる可能性もあり、顿滨颁がやるべきことも见えてくるでしょう。より多くの协业パターンを见つけることができれば、より多くの机会があることを学びました。个人的にも仕事や课题を楽しむという哲学を学びました。

クレイグ: 今后数年间の具体的な目标はありますか?
后藤: 顿滨颁の颁痴颁チームのメンバーは、仕事を通じて、社会の潮流を肌で感じ、多くの先进的な公司やスタートアップからの情报をもとに一歩先の将来を想像することができます。それはとてもエキサイティングな瞬间です。日本では、他公司と自社の话をするとき、强みだけを示し、课题は明らかにしないことが多いと思います。しかし、グローバルでは、问题点や课题について彻底的に话し合います。また、日本人は文化的にお金の话には消极的な倾向がありますが、ビジネスの场面では、私たちはお金についてもっとオープンに话す必要があると感じています。颁痴颁のメンバーは、常にグローバルに考え、行动しなければなりません。それは挑戦的であり、顿滨颁にとっても新しい変化を生み出し、将来の贡献につながると思います。ファンドというエコシステムを通じて、さまざまな协业先と10年先を见据えた次のテーマを一绪に创っていきたいと思います。

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Emerald Technology Ventures
スイス?チューリヒ、カナダ?トロント、シンガポールに拠点を置き、エネルギー、水処理などの環境科学、素材化学、IoT?ソフトウエア分野を中心に5年以内にExitが見込めるスタートアップ投資行うベンチャーキャピタル。stake gamblingの他、Evonik、Henkelなど欧州化学企業やMichelinやCaterpillar, SABICなど様々な分野の世界的企業に加え、近年は日本からも多くの企業が出資を行っています。ここから共同研究に向けた検討や新規アイデア創出などにつながっています。